「知らぬが仏」とはこのことか……(笑) ― 2011/06/22 00:01
また中古オーディオのお話しです。「なんだい、またSS-G7自慢かい」っておっしゃらずに、ちょっとトクしたネタの自慢話です(やっぱり、自慢話には変わりないか)。
さすがにアナログ・レコードは最近出番が減って、カートリッジもとっかえひっかえという気力が尽きてきかけていたところでした。もっとも、かの吉田秀和氏が、CDの登場時(今から思えば、キンキンギャンギャンひどい音を出すのが多かったような……)、「これで私はレコードをかけるという『儀式』から解放されて純粋に音楽に打ち込めるようになった」という趣旨の文章を書いていらっしゃったのを読んで、道具のあれこれで軽薄に論ずることを大いに反省したものでした。たしかに正規の規格で74分、最近のCD-Rならば80分がいっぺんに入るCDは、なるほどたいていの曲を掛け替えなしに聞けますね。それに、天井知らずの超高級品と、おもちゃのおまけみたいなのを除けば、そこそこの音を楽しめるわけで、これもありがたい話です。
そんなわけで、あっという間にCDがアナログ・レコードを駆逐していったのも自然の成り行き、とはいうものの、アナログ・レコードが積み上げてきた遺産もまた捨てがたいものであり、特に手元に愛蔵盤として残してきたものは、やはり大切にしたいものです。しかし、その音溝から音を拾い上げるカートリッジ自体が、普及品がほとんど駆逐され、「高ければ高いほど売れる」原理で、何万円、はては何十万円となると、手も足も出たもんじゃありません。幸い、レコード針はまだまだ供給も交換も大丈夫なようですが。
とはいえ、カートリッジにはご存じの通り、MC型とMM型とがあります。磁界の中でコイルを動かして電流を得る、という点では同じでも、前者はコイルを動かし、後者は磁石を動かします。当然、前者の方が軽くできる=音溝に正確に追従できるという利点があり、出力電圧の低さ、というデメリットを差し引いても尊ばれるのも、これまた当然の理です。
しかし、その低い出力電圧をアンプにそのまんま入力してはまともな音が出ない、ってことで、トランスやヘッドアンプというものを間に入れて増幅してやるわけですが、これがまたどっちがよいかの論争のネタ、つきあっていたらキリがないほどの大論争だから、これくらいにしておきます。
さて、私の方では長いこと、某メーカーのトランスを使っていたのですが、どうも音に色づけが出るような感じがぬぐえなかったうえ、カートリッジに合わせてがちゃがちゃスイッチを切り替えるのも難儀になってきた(歳ですなぁ……)ので、ヘッドアンプを物色に行きました。もっとも、こちらは、ちょくちょく顔を出しているオーディオ専門店です。
まぁ、うっかり何十万円もするものを押し付けられないよう気を遣いながら、おそるおそる切り出してみると、店員さんの一人が、そういやぁ……と言いながら、最近お客さんから引き取ったんだけど、よくわからん、中古品になるけど音は出ますよ、いいですか? ってわけで買ってきました。
まぁ、見るからにみすぼらしい外観、随分年期が入ったものです。「で、おいくら?」(ここの店では、よぉく心の準備をして、おそるおそる聞かないと値段を聞いてショック死する危険があります)と尋ねたら、「う~ん、なんかよくわからん商品だから、5千円でいいですよ」とのこと。ああ、それならいいや、だめもとでも、と思って買ってきました。
家に帰ってつないでみると、なんだかこれまで使っていたDL-103も、きまじめさはそのままに、少し繊細で華やかに音が広がる傾向に変わります。「割にいい買い物だったなぁ」と思いつつ、後日、お礼を言いに行きました。
ただ、どうしても、その品物の名前、正体がよくわかりません。品名をいうと「マーク・レヴィンソン JC-1AC」。
それから大分経って、最近またレコードやカセットをデジタル化する作業を再開しました。随分久しぶりで機材も少し調整が必要なら、作業の手順も忘れかけてました(やっぱり、歳ですなぁ……)。で、その「マーク・レヴィンソン JC-1AC」、オルトフォンに変えてもやっぱり同じ傾向で良い音に変わる、おまけにトランスと違って調整も交換も必要なし。いや、実にありがたいんだが、はて、正体はなんだろうってわけで調べてみました。
驚きました。名機だったんですねぇ……今ではメンテもできないようですが、1975年に発売されたマーク・レヴィンソンの名機、構造もシンプルで、メーカー・メンテナンスはダメでも、同種同規格のパーツ(あまり特殊なものは使っていないようです)さえあれば、実に合理的で綺麗な基盤ですから、自分で何とかなりそうです。
中古品相場でも、とうてい5千円なんて値段で手に入る品物ではなかったようで、なんでまた前の持ち主もそんな値段で手放したんだろう、と不思議に思える話です。
なんだかこうして、わが家は流れ流れて流れ着いた名機がこれで二つめ、名機は名機を知る、というわけか、鳴りがいいんですね、この組み合わせだと。
まったくもって、奇々怪々な世界です、オーディオってのは。
さすがにアナログ・レコードは最近出番が減って、カートリッジもとっかえひっかえという気力が尽きてきかけていたところでした。もっとも、かの吉田秀和氏が、CDの登場時(今から思えば、キンキンギャンギャンひどい音を出すのが多かったような……)、「これで私はレコードをかけるという『儀式』から解放されて純粋に音楽に打ち込めるようになった」という趣旨の文章を書いていらっしゃったのを読んで、道具のあれこれで軽薄に論ずることを大いに反省したものでした。たしかに正規の規格で74分、最近のCD-Rならば80分がいっぺんに入るCDは、なるほどたいていの曲を掛け替えなしに聞けますね。それに、天井知らずの超高級品と、おもちゃのおまけみたいなのを除けば、そこそこの音を楽しめるわけで、これもありがたい話です。
そんなわけで、あっという間にCDがアナログ・レコードを駆逐していったのも自然の成り行き、とはいうものの、アナログ・レコードが積み上げてきた遺産もまた捨てがたいものであり、特に手元に愛蔵盤として残してきたものは、やはり大切にしたいものです。しかし、その音溝から音を拾い上げるカートリッジ自体が、普及品がほとんど駆逐され、「高ければ高いほど売れる」原理で、何万円、はては何十万円となると、手も足も出たもんじゃありません。幸い、レコード針はまだまだ供給も交換も大丈夫なようですが。
とはいえ、カートリッジにはご存じの通り、MC型とMM型とがあります。磁界の中でコイルを動かして電流を得る、という点では同じでも、前者はコイルを動かし、後者は磁石を動かします。当然、前者の方が軽くできる=音溝に正確に追従できるという利点があり、出力電圧の低さ、というデメリットを差し引いても尊ばれるのも、これまた当然の理です。
しかし、その低い出力電圧をアンプにそのまんま入力してはまともな音が出ない、ってことで、トランスやヘッドアンプというものを間に入れて増幅してやるわけですが、これがまたどっちがよいかの論争のネタ、つきあっていたらキリがないほどの大論争だから、これくらいにしておきます。
さて、私の方では長いこと、某メーカーのトランスを使っていたのですが、どうも音に色づけが出るような感じがぬぐえなかったうえ、カートリッジに合わせてがちゃがちゃスイッチを切り替えるのも難儀になってきた(歳ですなぁ……)ので、ヘッドアンプを物色に行きました。もっとも、こちらは、ちょくちょく顔を出しているオーディオ専門店です。
まぁ、うっかり何十万円もするものを押し付けられないよう気を遣いながら、おそるおそる切り出してみると、店員さんの一人が、そういやぁ……と言いながら、最近お客さんから引き取ったんだけど、よくわからん、中古品になるけど音は出ますよ、いいですか? ってわけで買ってきました。
まぁ、見るからにみすぼらしい外観、随分年期が入ったものです。「で、おいくら?」(ここの店では、よぉく心の準備をして、おそるおそる聞かないと値段を聞いてショック死する危険があります)と尋ねたら、「う~ん、なんかよくわからん商品だから、5千円でいいですよ」とのこと。ああ、それならいいや、だめもとでも、と思って買ってきました。
家に帰ってつないでみると、なんだかこれまで使っていたDL-103も、きまじめさはそのままに、少し繊細で華やかに音が広がる傾向に変わります。「割にいい買い物だったなぁ」と思いつつ、後日、お礼を言いに行きました。
ただ、どうしても、その品物の名前、正体がよくわかりません。品名をいうと「マーク・レヴィンソン JC-1AC」。
それから大分経って、最近またレコードやカセットをデジタル化する作業を再開しました。随分久しぶりで機材も少し調整が必要なら、作業の手順も忘れかけてました(やっぱり、歳ですなぁ……)。で、その「マーク・レヴィンソン JC-1AC」、オルトフォンに変えてもやっぱり同じ傾向で良い音に変わる、おまけにトランスと違って調整も交換も必要なし。いや、実にありがたいんだが、はて、正体はなんだろうってわけで調べてみました。
驚きました。名機だったんですねぇ……今ではメンテもできないようですが、1975年に発売されたマーク・レヴィンソンの名機、構造もシンプルで、メーカー・メンテナンスはダメでも、同種同規格のパーツ(あまり特殊なものは使っていないようです)さえあれば、実に合理的で綺麗な基盤ですから、自分で何とかなりそうです。
中古品相場でも、とうてい5千円なんて値段で手に入る品物ではなかったようで、なんでまた前の持ち主もそんな値段で手放したんだろう、と不思議に思える話です。
なんだかこうして、わが家は流れ流れて流れ着いた名機がこれで二つめ、名機は名機を知る、というわけか、鳴りがいいんですね、この組み合わせだと。
まったくもって、奇々怪々な世界です、オーディオってのは。